1.遺留分を主張しない約束を反故に
親が全財産を長男に相続させる遺言書を書いた。他の相続人である次男に親が説得し、遺留分を主張しないことを約束したにもかかわらず、親がなくなった後、次男は長男に遺留分減殺請求の意思表示をした。やはり遺留分対策は、家庭裁判所に申立する遺留分の放棄か、生命保険による遺留分の貯蓄をおすすめします。
2.受遺者が遺言者よりも先に亡くなる
遺言書で遺産を相続される人「受遺者」が、遺言を作成した人「遺言者」よりも先に亡くなった場合、遺言書で指定が無い限り、法定相続人に法定相続分どおりに分割されます。ですので、その可能性が高い場合には、予備の受遺者を遺言書で指定しておくべきでしょう。
3.遺言者が亡くなるよりも先に遺産がなくなる
長男にある不動産を相続する内容を決めたが、遺言の効力が発生する前に、その不動産を売却。遺言書を書きなおす前に遺言者である親が亡くなった。そうなると、長男にその不動産を相続する内容に関しのみ、無効となります。そのため遺言書を早急に作りなおすことをおすすめします。
4.死期がせまったときにつくるでは遅い
遺言書を作成するのは、死期が迫ったとき、高齢になったときというイメージがあると思います。しかしそれよりも先に認知症など判断能力が低下したときは、遺言書をつくることができない、作ったとしても、後に争いの種になってしまいます。遺言書は元気なうちに作ることをおすすめします。
5.遺言者に意思能力がなければ無効
公正証書遺言にしたから絶対に大丈夫。しかしのちに遺言者の意思能力はなかったのではないかと争って、裁判になったケースもたくさんあります。公証人は法律のプロですが、医学のプロではありません。疑わしいときは、遺言書を作成したときに、あわせて医者の診断書もとるようにしておきましょう。
6.遺言書の存在を知らない
自筆証書遺言では、遺言書を紛失してしまうという欠点があります。公正証書遺言では、そのデメリットはありません。しかしどちらの遺言書でも、作成したことを相続人に知らせておかなければ、相続人は探すことも無く、遺産分割を行い、争いになってしまっているかもしれません。内容はともかく、書いたことだけでも伝えましょう。
7.債務は遺産分割できない
負の遺産も含め一人の相続人が全財産を相続する遺言書を作成。相続を受けない相続人も負債を負わなければと思い、納得した。しかし遺言の効果が発生した後、債務は支払われず、債権者からすべての相続人に対して債務弁済の請求がされた。これは債務は遺産分割の対象ではなく、いくら相続人のなかで決めたとしても、債権者には関係がありません。債務を相続しないためには、家庭裁判所に申立する相続放棄が必要です。